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お産の豆知識

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常位胎盤早期剝離(出血で1番気をつけるもの)

常位胎盤早期剝離(以下では早剝ソウハクとします)は「産婦人科診療ガイドライン2020」でも、全ての妊婦さんに対して、30週までに常位胎盤早期剥離の初期症状に関する情報を提供することが推奨されています。
早剥は、通常は赤ちゃんが産まれた後にお母さんから剥がれる胎盤が、産まれる前にお母さんの身体から剥がれてしまうことです。赤ちゃんは胎盤から酸素も栄養も全てもらっているので苦しくなるし、お母さんも出血が止まらないようになったりする病気を引き起こし、母体・胎児ともに命の危険がある怖い病気です。産婦人科医が緊急で慌てるべき、いつも警戒している病気でもあります。

頻度・・一部分だけ剥がれる軽いものも含めると全分娩の0.5~1.3%。おおまかに言うと100人に1人の頻度で起こり、決して珍しくはありません。

原因・・分かるものもありますが、分からないものも多いです。分かりやすいもので言えば交通事故や転倒で腹部打撲があった場合に、物理的に剥がれてしまうことがあります。その他にも子宮胎盤血管の炎症や循環不全、血栓などが原因と考えられています。しかし、原因がはっきりしないため、リスクファクター(発症しやすさ)が重要です。

  • 35歳以上・・・1.2倍
  • 喫煙・・・1.37倍
  • 体外受精妊娠・・・1.38倍
  • 高血圧合併妊娠・・・2.48倍
  • 妊娠高血圧症候群・・・4.45倍
  • 早産・・・1.63倍
  • その他、前回早剝・子宮内感染・前期破水でも起こりやすいです。

これは日本の研究ですが、海外でもほぼ同様の結果です。

症状・・これも大事で、

  • 性器出血(少量でも)
  • 腹痛(典型的なものは陣痛と違ってずっと痛いです)
  • 子宮収縮(板状硬と言うように、板のように硬くなるのが典型的ですが、さざ波のように張ると表現することもあります)
  • めまいや立ち眩み、気分不良、赤ちゃんが動かない等いつもと違う。

上記のような症状があれば医師は真っ先に超音波検査で胎盤を確認し異常がないか確認します。超音波で剥がれていることが確認できることもありますが、分からないこともよくあります。その際は胎児モニターで胎児の様子や子宮収縮を確認していくことになります。
切迫早産で出血することもあるので、その判断のためにも慎重に入院にて異常がないか確認が必要なこともあります。

治療・・治療は分娩することです。陣痛がなければ緊急帝王切開が必要かもしれませんし、大きな周産期センターに救急車で搬送になるかもしれません。とにかく一刻の猶予もなく救急対応が必要なのが常位胎盤早期剝離です。

私も今までたくさんの常位胎盤早期剥離を経験しました。お産は命がけと言いますが、この病気になるとまさにその通りの命がけになることがあります。あくまでも経験上ですが、ある日予期せぬ人が突然に発症するより、少し浮腫んできた、血圧が上昇傾向になってきた、蛋白尿が出始めた等、何かしらサインが出ている人が多いと思います。

  • 常位胎盤早期剝離の既往がある人は特に出血や腹痛などの上記症状に気をつける。
  • 禁煙をする。
  • 妊娠中の血圧上昇に気をつける。
  • 出血や腹痛があれば、かかりつけに連絡する。

これを意識することがポイントだと思いますが、異常の早期発見や発症予防の指導をするのが妊婦健診です。妊婦健診をきっちりと受けて異常ないですと言われていたら、健康的な楽しい妊娠生活を過ごしたらいいと思います。

副院長 橋本

副院長 橋本

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